屋号で呼ぶのが田舎ルール?名字より優先される理由を考察する
地方で田舎暮らしをすると、謎な地元ルールってぜったいありますよね。
その一つが「屋号」。
屋号文化に馴染みのない方にとっては「田舎では屋号を日常で使うって聞いたけど本当?」「なんで名字じゃだめなの?」とさまざまな疑問が浮かんでくると思います。
そこでこの記事では、幼少期から屋号文化で育ってきた田舎在住者である私の実体験を元に「屋号と田舎の関係性や独自ルール」をまとめてみました!
- 田舎の屋号とはなんなのかをざっくり解説
- なぜ屋号は田舎だと馴染み深いのかについての考察
ちなみに、本記事は名字や日本史の専門家が書いている記事ではありません。
田舎暮らしの日常に、今でも屋号が根付いているのが私自身不思議なので、あくまでも考察してみただけです!
屋号ってなに?
田舎における屋号とは、いわゆる会社名を指す「屋号」とは異なります。
屋号は、先祖が名乗っていた個人名やその家族、家そのものに付けられている名前です。
屋号の始まりは、住んでいる場所の風土や地域性によってこまかく分かれています。
一概にこれに当てはまるとも言えず、屋号がついた理由や背景も家庭ごとに違うのが特徴です。
ちなみにうちの屋号は「西田屋」です。(一部省略&表記も変えています。)
「田屋」がついていますが、名字はまったくかすっていません。
ご近所に同じ名字の人もいないし、地名とも関わりがありません。
私の先祖は武士で、農村開発をし、かつては城をかまえていたと子供の頃に教わりました。
となると、本来あった武士名ではなく、農村の方を活かしてつけたのかも?
もしくは、上の位の人にこの名前を与えられたのかもしれないな〜と考察しています。
いずれにしても、今も先祖が守ってきた田んぼを継いで農業をしていますので、私が過去にタイムスリップしても堂々とこの名は名乗れそうです(笑)。
ご近所に東田屋(北と南も)はいらっしゃらないのですが、昔はいたのでしょうか。
1軒だけだと自分の家が本当に「西」なのかどうかももはや疑問です……。
ちなみに、ご近所では「〇〇助」「〇〇右衛門」みたいな下の名前っぽい屋号も多くあります。
かの有名な「ドラマ水戸黄門」でも、水戸の御老公が身分を隠すため、「越後のちりめん問屋 光右衛門(みつえもん)」と名乗っていますよね。
ちなみに「越後のちりめん問屋=新潟の呉服店」。
現代の言葉で言うならアパレルショップらしいです。
これを名乗ればどこの誰かが容易に想像できます。
光右衛門の子孫がもし現代にいて、新潟で呉服屋を営んでいたら、屋号は「越後屋」もしくはそのまま「光右衛門」になっていたんでしょうか?
越後屋はとっても有名ですよね!
屋号呼びをする田舎ルールについて理由を考察
屋号で呼びあうのは「あるある」な田舎ルールのひとつです。
屋号といえば「会社の名前」という印象ではあるものの、田舎の人間にとっては「家に昔から付いている名前」というイメージの方が強いかもしれません。
ご近所の方を呼ぶ際は「名字+さん」が一般的でしょう。
しかし田舎だと「屋号+さん」や「屋号(呼び捨て)」のパターンが多い気がします。
私の年代でもご近所の人を呼ぶときには屋号を使いますよ〜!
あと、不思議なのが郵便物も屋号で届くこと。
昔からやり取りがある地元団体や企業からの文書は、本来なら世帯主宛のところ、なぜか「名字+屋号」や「名字+何世代も昔の先祖の下の名前」で普通に届きます。(公共料金とかも)
ご近所の連絡網や回覧板もすべて屋号表記。
そのため、屋号は当たり前のように日常に寄り添っています。
なぜ現代でもこんなことになっているのかは、地域によって全く異なるとは思いますが、私が考える理由は以下です。
- 昔からある家では、家の名前で呼ぶ文化が定着し、それを子供ができる度に教えていたから
- 高齢地域ではより一層屋号文化を重んじる傾向があるから
- 個人名で呼ぶより屋号で呼んだ方が楽だから
田舎と言えば、代々文化や土地を守って生きている方が多いですから、継承したい気持ちが強いのかもしれません。
現代の子孫が先祖の職業や土地柄にまったく関係のない生き方をしていたとしても、家の名前はずっと続いています。
これを守って使いたい方が田舎には多いのでしょう。
また、「屋号+さん」と呼ぶほうが個人名で呼ぶより短く楽な場合もあって使っているところがありそうです。
屋号呼びな田舎暮らしで良かったこと
最後に、屋号呼びで良かったな〜と思うことを紹介します。
怪しい営業電話に引っかかりにくい
電話がかかってきたときに、名字ではなく屋号で名乗って出る人が多いです。
このご時世、固定電話でやり取りをする相手なんて限られていますから、屋号で名乗って理解できない電話相手は「怪しい」とひとつの判断材料にできます。
そのため、こちらの屋号名乗りに戸惑った相手には、一応注意して対応するようにしています。
勧誘の電話は、何度か対処できているような気がしますね。
親しみがある
やっぱりただ名字で呼ぶよりかは、屋号のほうが親しみが感じられるかもしれません。
下の名前みたいな屋号もありますし、呼ぶだけで打ち解けたような感じがすることも。
なので私は、相手がどんなに目上の方でも屋号呼びをすることで身近な存在になるな、と思っています。
屋号を言えばどこのだれかがすぐに理解できる
日頃は関わりのない離れた地域の人でも、大きな地域イベントなどで交流することがあります。
その際、名字で名乗ると伝わらないけど、屋号を言えば「あ〜あそこの人ね」と理解してくださる年配の方もたくさんいます。
実際、私も子どもの頃はこういった経験が何度もありました!
ちなみに屋号呼びのデメリットは?
反対に、屋号呼びで「それはちょっと……」と感じてる部分も実はあります。
屋号は昔からその土地に住んでいる人が名乗っているため、移住したり、他の地域から引っ越したりしてきた人にはありません。
そうなると、屋号がない人を「よそ者」として扱う人が少なからず現れます。
こういうところは「もっと優しく受け入れて接してほしいな」と思ってしまいますね……。
また、1軒につき「名字」と「屋号」がそれぞれあるので、2種類の名前を覚える必要があるのが、ちょっとだけ面倒です。
子供の頃から交流があるご近所の方は覚えられる一方、あまり会う機会のない人だと全く覚えられなくて、未だに苦戦しています……。
まとめ:田舎の屋号は名字と違う!独自ルールに注意!
この記事では、田舎あるあるの「屋号呼び」について田舎在住者目線で赤裸々に紹介しました。
- 屋号は土地や先祖の名前をもとに家につけられた名前
(由来は家ごとに全く異なる) - 田舎では、屋号で呼び合う文化がまだある
- 屋号呼びは、怪しい電話に対処できたり、ご近所との交流で役立ったりするメリットもある
もし屋号呼び文化がある地域へ移住したり、屋号呼びの人々と交流するときには、由来なんかもたずねてみたら面白いかもしれません。
また、先ほどの項目でも触れましたが、屋号と名字を両方覚えるのはけっこう大変です。
頻繁に交流のあるご近所さん以外は、屋号と名字が一致しなくて、私もいまだに覚えられません!
見慣れない人が訪問してきたときは、名乗られても「え〜と誰だっけ?」とあたふたすることもしばしば……。
しかし、せっかく田舎で暮らすのなら、屋号呼びも一つの文化として楽しんでみてはいかがでしょうか。
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